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周囲のレベルが低くでうまく教えられないベテランの悩み:解説者の流儀(戸田和幸)(213)

サッカー解説者のサッカーを見るチェックポイントを勉強しようと

購入してしばらく放置していた本。

 

こないだの旅行カバンに入れてちょこちょこ読んでいたら、

今の自分に必要なことが書いてました。勉強になったので紹介します。 

2002年W杯(日韓共催時)の日本代表(ボランチ)です。

フリーの解説者で地方在住、週1試合からスタートして、

今では日本サッカー中継のエース解説者です。

 

www.youtube.com

 

Youtubeチャネルでオリンピックの解説もされてます。

(とても分かりやすい)

 

「戸田和幸が引退を決めた試合」のエピソードが面白い。

第3章の最初の6ページは、中間管理職の人全員に読んでほしい。

(概要)

・シンガポール移籍まで

Jリーグ→イギリス1部→オランダ1部→J1数チーム→韓国→J2→ときて

キャリア晩年。シンガポールSリーグから特別枠でオファーが届きます。

 

クラブ側の期待は「経験を後進に伝えること」

 

当時36歳。将来は指導者を見据えていた戸田にとって

「良い経験になる」と考え、シンガポールへ渡ります。

 

・シンガポール生活のスタート

一応プロリーグだけど、学生は授業優先で練習を休むし、楽しくサッカーをしている。

戸田から見ると足りないことばかり。色々と伝えようとしますが、

選手・監督を含めて、自分の知識は求められていないと感じました。

 

それでも、相手の目線に合わせることを心がけて、

少しずつチームがいい方向に進む。

 

・戦術の概念がない

シンガポールのチームはだいたい4-4-2(一番オーソドックスな戦術)。

ピッチコンディションが悪いので、前線の外国人選手にロングボールを入れて

戦うチームがほとんど(日本でも、下部リーグに多い)。

人工芝で芝が荒れていないとボールを追いかけるだけ。

 

あるチームとの対戦。そこは日本の指導者が監督をしています。

そこはシンガポールでは唯一、戦術を意識して戦うチーム。

 

選手の質は(日本の基準では)あまり高くないが

シンガポールでは非常に強い。

理由はシステムの違い(4-3-3)。

 

システムごとに得意不得意があるので、違うシステムなら違う攻め方をするものだが

シンガポールのチームは、4-4-2相手と同じ戦い方をしている。

おそらく、システムの違いに気づいてない。

 

・試合中のシステム変更で快勝

そのチームとの対戦。

試合中、戸田の指示で1-5-4にシステム変更し、3対1で逆転勝利。

 

「相手のシステムの弱いところを突く」という基本的な対策をやっただけですが。

戸田としては手応えを感じます。

 

ただ、選手としてできることに限界がある。

これは監督の仕事だし、それ以前に、

勝因(システム変更)に気づく人が周囲にいません。

 

「周囲がその程度なら、自分もその程度の選手なのか」

そう考え、引退を決意した。

(あくまで要約:都合で変更してる箇所があります)

要約部分がぜんぶ言いたいことなので

これ以上要約する必要はないのですが、僕の感想としては…

 

1.基本概念の説明(戦術とは、システムというレベル)から指導するには

現場レベル(選手の立場)がシーズン途中から教え始めるのは

無理がある。せめて監督が、シーズン始動時から始めないと。

成果が出るまで数年かかるだろうし、国の協会が組織的にやる仕事だ。

 

2.周囲の環境が自分の基準より低い場合、どう動くか。

「後進の指導」を任されるなら、自分より仕事のできない人しかいない。

(来日直後のジーコは、怒ってばかりだったらしい:よく来てくれた)

 

3.求められてないアドバイスはやっても仕方がない。

関係を築いて、聞いてもらえる状況にするのが先。

(年齢差のある上司・部下でコミュニケーションが取れずに困ってる人は

多いと思う)

 

 4.最後の「辞め方」、言ってることはもっともだけど、

期待されていたのはコーチ兼任のような位置づけで、

選手としての能力だけで雇われたわけではない。

周囲のレベルが低い、自分の選手としてのレベルが低いというのは

最初から分かっていたことじゃないか。

(もちろん、シンガポールに骨を埋める必要はないけど)

 

 

半分くらい読んだ感じでは、戸田和幸自伝部分が一番面白い。

もう少し掘り下げて書いて欲しい…けどたぶんオファーは断るでしょう。

 

ぜひ読んでください。