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この本が傑作!2018(読書ふりかえり記事)(101)

1月から読書記録を取り始めて気づいたのが

「電子書籍のセール品以外、何も読んでない」こと。

 

ちょっと気になる新書が安くなっていたので…というのを繰り返してると

大事なやつが全然読めない。

2月半ばからは「大作思考」に変更し、なんとか処理したのがこの辺。

 

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

 

カテゴリは、面白くて勉強になる本。

 

一般向け科学入門書としては、サイモン・シンの右に出る人はいない。

ベジュ暗号やエニグマ暗号のしくみと解読方法が丁寧に説明している。 

古代文字(ロゼッタ・ストーン)の解読の方法論が載ってて、

未知の問題にどうアプローチするのか、大変参考になります。 

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)

 

前提条件が1つ欠けてると、百年単位の時間で大きな差がつき

追いつけないほどの文明の差になる。

(天候に恵まれてるが穀物の種がない、家畜がないので生産量が増えない。など)

 

参考になった概念を2つ

1)余剰生産があると職人・職業軍人・官僚を養えるようになって

武器と兵士と指揮官がそろう。なので連戦連勝。

 

2)余剰生産で養われる「宗教家」が、権力者に正当性を与え

国家の求心力を強める。

 

いずれも思考の幅は広まるが実生活には関係ない。 

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

 

ドストエフスキー伝説もカラマーゾフ伝説も散々聞いてると思いますが、

作品のプロット以外の脇道がめっちゃ面白い。 

あらすじやマンガで読まず、小説で読んでください。

 

富豪の女にちょっかいを出して決闘を申し込むが

決闘場に向かう途中で突然悟りを開いてその後ロシア一の宗教指導者になる話とか、

どうでもいい伝手を頼って金の無心に行き断られる話とか、

教養のある次男が突然幻覚に襲われる話とか。

 

登場人物に「老成した人(いわゆる「大人」)」がいないので、

 年を取ってから読むと味わいが…という類いの本ではないです。

 

大学生でも中高年でも同じように楽しめます。読んでね。

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

  • 作者: エリヤフ・ゴールドラット,三本木亮
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2001/05/18
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これも名著旧作のカテゴリです。

トラブル発生→解決→ストーリー進行と小説そのものの構成が

よく出来てて、分量(500Pちょい)は感じさせないです。確かに長いけど。

 

TOC(ボトルネックの生産量が全体の生産性を決める)は

よく聞く概念でしょう。結論はたしかにその通り。

ただ、その脇を固める話が結構重要です。

 

「ボトルネックじゃない部分は過剰生産だから、稼働率を落とした方がいい」

という話が、個人的には参考になりました。

 

Aパートで1時間に100個、Bパートで1時間に20個の処理ができるなら、

Aパートの設備は一定時間止めるよね、という当たり前の話です。

Aパートもフル可動して在庫の山を築いてしまうという

ありがちな失敗に気づくまで、本の約半分を費やしてます。

 

そうです。ひまな部署の人が遊んでると経営者はキレますが、

そこで無駄な仕事を作ってはいけない。 

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

 

「地元の図書館でよく使う席のすぐそばに置いていた」

というだけの理由で読み始め、6冊一気に完走しました。

 

1996年の電波少年の影響で大流行。22年後に感動の完走です。

子持ち、独立後の経営者が読む本ではない。

そもそも私はバックパッカーが嫌いだ。

 

巻が進むごとに刺激に慣れ、バックパッカーに対し冷めていく主人公。

2巻の途中から「旅行して何になるんだ」という自省が登場し

どんどんテンションが下がっていくので、

 

「なぜこの本がバックパッカーのバイブルなんだ」

「熱いのは1巻だけだろ」

 

と首をかしげながら読み進めた記憶が。

中身は1度感想を書きましたので、そっちをご参照ください。

 

深夜特急(全6巻)完走しました(093) - Suicaどっとinfo

 

いままでの日本代表には「継続性」の観点がなかった、

過去の総括をした上で次につなげていかなければならない…で始まった本です。

 

毀誉褒貶の激しかった、ハリルホジッチ(元)監督の戦術を

真面目に分析して大会本番の戦術を予想するガイド本のはずが

ハリルが電撃解任されて、ただのゴシップ本みたいになってしまった。

ハリル戦術も理解されないまま終わり、

現状追認型の監督、新監督へと引き継がれる日本代表。

継続性って何だっけ。

 

本番の分析(答え合わせ)編も出てます。 

理論編・実践編みたいな楽しみ方ができるので、手っ取り早く結論を知りたい方は

2冊目だけでOKです。

エリア管理と、1:1での競り合いの強さ。ハリルが何度も強調したポイント。

課題が解決されないまま本番に望み、その後どうなったかはご存じでしょう。

 「だから言っただろ」「マンツーマンで勝てよ」「人数かけたらダメだって」

というハリル(と著者)の叫びが聞こえてきそうな内容です。

 

「数的優位を作って人力で攻める」

「カウンターを喰らったら頑張って戻って、人力で守る」

 

こんな戦術でも戦術だし、実際ワールドカップには出られた。

協会に改善する気がないなら永遠にこのままでもいいんじゃないかな〜。

そもそも本気でワールドカップ優勝を目指してるんでしょうか。

今のサッカー日本代表。

 

あと、デンマーク戦の最後の高速カウンターについても。

(ここは私の感想です)

 

一つ目。これは伏線

ポーランド戦ラスト10分、ただボール回しをするだけなのに

何度かボールを奪われてること。

「ボール回し」は(能力的に)出来ない状態で、

しかも「ボール回し」は前の試合で散々叩かれた戦術。

 

引き分けを狙いたくても狙えなかった。日本は攻めるしかなかった。

 

 

二つ目。こっちが実質的な理由。

「キーパーが完全にフリー」なら、そりゃカウンターを食らうでしょう。

日本の過去3試合でも、キーパーにプレッシャーをかけるシーンがゼロ。

 

キーパーがキャッチしたらゴー。デンマーク側は事前に決めてたのでしょう。

 

一番大事なのは、結果。それが大前提です。

もし負けても許せるとしたら、 やるべきことをやって負けた場合だけ。

負け方が印象的だったとして、何になるんでしょう。

 

年末のNHKの特番で、闘莉王が言ってました。

「あそこでキーパーを倒してれば(仮にレッドカードが出ても)負けなかった」

 

必要十分生活~少ないモノで気分爽快に生きるコツ~

必要十分生活~少ないモノで気分爽快に生きるコツ~

 

お片付け本もいくつか読んだけど、これがベスト。

 

毎日風呂掃除するから排水溝の蓋は捨てた、とか

Yシャツの半袖がなくても、長袖を腕まくりすればいいみたいな

極端な話がたくさん出てくる。

 

実用書というよりアイデア本という使い方をしてます。 

アンジャッシュ渡部の 大人のための 「いい店」 選び方の極意 (SB新書)

アンジャッシュ渡部の 大人のための 「いい店」 選び方の極意 (SB新書)

 

相手をもてなす、店にとっての「いいお客さん」になるという

ノウハウをまとめた実用書です。

 

人気店、月1回の予約募集の日に、仕事を休んで1日中電話をかけ続ける話や

話に夢中で料理に手を付けない人と一緒に来たくない話など、

「ああ、優先順位が違うんだ」と。

 

というあたりは見聞を広げる本ですね。

 

サポーターをめぐる冒険 Jリーグを初観戦した結果、思わぬことになった

サポーターをめぐる冒険 Jリーグを初観戦した結果、思わぬことになった

 

初めて経験したときに文章に残しておいたら幸せだな、と再確認しました。

サッカーのサポーターって独特の世界なので、

異民族への遭遇記みたいになってますけど。

 

「弁当を食べながら観戦できますよ」 というのは

私が初めてスタジアムに行く前に、サッカー好きの方に教えてもらったこと。

 

ずっと立ったまま応援しないといけない、と思ってる人は

多いと思いますよ。 

八甲田山 消された真実

八甲田山 消された真実

 

通り道の村々に接待させて

知り合いの新聞社に写真を撮らせ、

道案内にラッセルや斥候をさせ 

到着直前に手切れ金を払って追い払い

訓練終了後、自分の名声が欲しいので裏工作をして不興を買い左遷され

 

など。非情界のドン、福島大尉の伝説の一部です。

「万全の準備をしたがために訓練に成功した」側の真相はこんな感じ。

小説は小説だから別にいいかもしれないけど…。

(新田次郎版「八甲田山」では、英雄みたいな書き方をされてる)

 

「2つの聯隊を競わせるというのを、そもそもやってない」

というのあたりは、もう少し広まって欲しい。

(31聯隊の訓練に合わせて5聯隊を急に行軍させたので、事故が起こった)

 

青森の陸自は今でも悔しい思いをしてる(著者が所属していた)ので 

「いいかげんな準備で山をなめてて死んだ愚か者」という汚名でなく、

ただの被害者だったというのも覚えておいてほしい。 

 

おしまい。