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毎週新しい専門書が課題に出る「濃い」講義に耐えられるか:大学はもう死んでいる?トップユニバーシティーからの問題提起(183)

苅谷剛彦先生の著書(対談本)が平積みになってたので

久しぶりに購入。(購入:啓林堂書店 奈良店)

 「教育改革の幻想」は2002年。もう18年前か。

(抜き書き)

本気の学部授業は、週に4〜5個とれば限界

週に3コマ開講して、毎週1冊の課題を出す

その代わり1つ6単位(日本はだいたい2単位)

日本だとICUのカリキュラムがこれに近い

 

日本の大学は知識の受け入れ型としてはうまくできている

専門性が高くなると、穴(教えない分野)が増える

 

学部(Faculty)と大学全体(University)とカレッジが全部別の概念

東大はUniversityより先にFucultyが出来たので、統合する組織が弱い

 

学生の優秀さは、東京大学もオックスフォードもハーバードも変わらない

東大のトップ1割は日本のトップなので、叩けば伸びる

 

(参考)東京大学 | グローバルリーダー育成プログラム

 

グローバルな学生はグローバルに貢献するはずだから、

日本企業のために働くというのは想定がおかしい

(「頭脳流出」っていったい何なんだ)

 

日本は教授会が全部決めるので、作業が多い

専門のスタッフを置いて人材を育てないと辛い

 

外国人教員比率は「ポスドクで1年海外勤務」でもカウントされる構造

本当にグローバル化したいなら、終身ポストに占める外国人比率を上げないと意味がない

(ここまで)

 

苅谷先生は、東大教授からオックスフォードに移った以降も、

日本の教育への提言を数多くされています。

(今回の「9月入学問題」でも、統計を元に政策提言をされてます) 

 

以前、苅谷先生の講演を聴いたときに印象に残った話。

「東大生は選抜されたごく一部(注:18歳人口の0.2%)なのだから、

 ほか(残りの99.8%)と同じではいけない」  

能力があるならもっと頑張らないとダメだろう、という趣旨です。

(元発言とは少し違います)

 

このスピーチと同趣旨。

この祝辞は「欧米コンプレックスだ」とバッシングの嵐だった

(というか、東大の祝辞は物議を醸しそうな人ばかり呼んでる)

 

共著者の吉見先生のインタビュー。

 

ゼミでのいい発言・悪い発言

本筋とは関係がないのですが、学部生向けゼミで

「吉見俊哉をたたきのめす」をやったときの発言のテンプレートが役に立った。

 

いい発言

先生の○○という話は、原典の読み込みが足りない

A論文とB論文で整合が取れていない

 

ダメな発言

質問をする(頭を使わなくてもできる)

講師を褒める(今回の趣旨と違う、これは時間を埋めるだけ)

 

このゼミを受けた学生は幸せだと思います。

「ダメな発言」すらない環境に普段はいますので…。

(講演の質疑応答で、「どうでもいい質問」をする役です)

あくまで海外の大学・大学制度・大学の位置づけとの比較なので

日本の大学選びには全く役に立たない。それに 「受験制度」は全部スルーしてます。

 

よくある「大学改革本」を期待すると、肩透かしを食らうと思います。