一気に10冊紹介しても、書く方も読む方も辛いので
2回に分けます。1位以外の順位には優劣はないです。
今年はきっちり10冊用意しました。
去年は11タイトル(シリーズものが複数含まれる)。
キリのいい数字にしましたよ。
この本が傑作!2018(読書ふりかえり記事)(101) - Suicaどっとinfo
10位
どの業界も、立ち上げは人手が足りず
海外留学したスーパーマンが1から10まで設計します。
負荷がかかる、やり方が全く分からず見よう見まねになるという
デメリットはありますが、ゼロから自分で絵が描けるのは
我々にはうらやましい限りです。
中身は、戦後の焼け野原から立身出世するサクセスストーリーです。
「すごいやつは最初から最後までずっとすごい」
「失敗するのは周りの無能力者のせい」
「すごいやつにに全部任せて責任だけ取る上司は最高」
という銀河英雄伝説のヤン・ウェンリーみたいなエピソードが続くので
こんな属人化した話を経営のバイブル扱いする人は
頭のネジが飛んでいるのではないかと思いながら完読。
最後まで同じ調子でした。
どの本も、読み手の考えが入り込むので、
キャッチコピーは当てになりません。実際に読むのが大事です。
「歴史好きなら司馬遼太郎くらい読まなきゃいかんだろう」
というだけの理由で八巻シリーズを読んだのに
誰とも共感できそうにない感想しか浮かびませんでした。
期待通りに進まないのが読書の難しさです。
9位
【勝間和代氏インタビュー前編】 「忙しいから行かない」ではなく、「忙しい時ほどゴルフに行く」方が仕事もはかどる[じゃらんゴルフ]
↑のインタビューが面白かったので
ゴルフに全く興味がない人ですが買いました。
そうしたら、中身は完全な技術教本でした。人脈とか金儲けの要素が全くない。
結論→一般的な誤解→解説
というサイクルで進みます。
ゴルフ経験者ならだいたい分かると思いますが
私はゴルフを一回もやったことがないので、文字だけの説明では無理でした。
(イラストも図解も全くないので、編集者はもう少し働いて欲しい)
「製造業と同様、ゴルフは打球の品質管理が大切です」
ゴルフの成功・失敗をその場でiPadにメモし
PDCAサイクルを回し続けるという、コンサルタントのアプローチ。
「成功には原則があった」の言葉通りです。
全然できない状態から少しできるようになる過程を
文章で説明するスキルというのは、一般的な文章力説明力の
応用でいけるんだなと、感心しながら
何も意味の分からない240ページをめくり続けました。
本は別に理解なんてしなくていいし、
「頑張って説明してるなあ」と大教室の後ろでLINEしながら
聞き流すような読者でも別に構わないと思います。
問題解決へのアプローチ法と説明の技術は参考になりましたので
十分値打ちはありましたよ。
8位
12月に届いた最強の1冊。
同性愛を理由に投獄され、その後没落。
非業の死を遂げた批評家・文筆家・劇作家オスカー・ワイルドの評伝です。
イギリスの高校・大学は男子校かつ全寮制。
男色がはびこってるのに、なぜか同性愛行為が犯罪のままで
(大陸はナポレオン法典の影響で合法化されていた)
見て見ぬふりをしているが良くは思われていない状態。
派手好きで元々嫌われていた上に、人目につくように
男娼をはべらせて豪遊していたので、逮捕されました。
オスカー・ワイルド名言まとめ(日本語、英語) - e-StoryPost
この人は、即興で作った小話の方が、小説より面白い。
これなんかそう。
どこで誰に語ったかも、さっきの評伝に書いてます。
こういう心の汚れた人が書いた短編だったのか。
教科書に載ってるくらい有名なのに。
当時の男娼に、証拠を取ってゆする文化があったとか
男性の同性愛を示す単語を著作に忍び込ませたとか
そういう文化の解説も読みどころです。
イギリスはどこをとっても腐ってるので、実態を知るにはちょうどいいでしょう。
- 作者:オスカー ワイルド,D.H. ロレンス,シャーウッド アンダーソン,E.M. フォースター,ヘンリー ジェイムズ,サマセット モーム,サキ,Saki
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1999/12/13
- メディア: 文庫
代表作の一つ「W・H氏の肖像」を収録
本のタイトルがひどい。悪意を感じる。
オスカー・ワイルドという人物、裁判の背景知識と
濃い話が続くので、元気な時に読んでください。
私は、読了したあとしばらく寝込みました。
7位
人間関係の極意を述べた本。バリバリのビジネス書です。
知ってるコンサルタントが「この本を読んで人生が変わった」と
言っていたので、試しに読んでみました。
最近、知り合いはそこそこできた(友達は増えてない)ので
もう少し「借りを増やす」「関係を深める」方向に切り替えようと
いう気づきがありました。
最初からひたすら与え続ける人、搾り取ろうとしか考えない人、
貸し借りなしを心がけ、もらった分だけ返そうとする人。
どれがうまくいくか?答えは与えつづける人です。
相手が欲しいものを欲しい量だけ与えるのは調整が難しいし
与えることを最優先して無駄に他人のスペースに加入してくる人が
結構います。「GIVER」になるのも難しい。
自己啓発業界で「与える」って言ってる人、ろくな人間がいません。
6位
論争が起こったのがちょうど歴史に興味を持った頃で
しばらく離れてる間に裁判沙汰になり、偽書と確定。
それ以後、オカルト・トンデモ業界でのみ珍重されています。
中身も…うーん。
屋根裏から落ちてきた古文書を「当主が書き写した」写本。
使う単語や紙の年代を見れば、古文書の真贋はすぐわかるのに
これを自治体が市史に収録してしまい。その後面倒なことに。
新聞に載り、各所で史跡を作ったり、新作の古文書(って何だ)を
他の自治体に買い取らせたり。やってることは悪質なゆすりだ。
毎晩自宅で、偽書を制作し続けるW氏。生産した量が半端じゃないので
精神疾患の気を感じる。
東日流外三郡誌を持ち上げた学者の話がもっと悪質。
公の場で論争に応じて、違うなら違う、間違ったら間違ったと
訂正すればいいのに、仲間内で固まって反対論者の個人攻撃を繰り返す。
よく見る光景とはいえ、結構有名な学者なのにこれは。
ノンフィクションとしての完成度が高いので、
読み物としてもお勧めします。歴史はほとんど関係ないです。