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この本がすごい2019(前編):今年読んだ173冊から厳選10冊を紹介します(154)

一気に10冊紹介しても、書く方も読む方も辛いので

2回に分けます。1位以外の順位には優劣はないです。

 

今年はきっちり10冊用意しました。

去年は11タイトル(シリーズものが複数含まれる)。

キリのいい数字にしましたよ。

 

この本が傑作!2018(読書ふりかえり記事)(101) - Suicaどっとinfo

 

10位

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)

  • 作者:司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1999/01/10
  • メディア: 文庫
 

どの業界も、立ち上げは人手が足りず

海外留学したスーパーマンが1から10まで設計します。

 

負荷がかかる、やり方が全く分からず見よう見まねになるという

デメリットはありますが、ゼロから自分で絵が描けるのは

我々にはうらやましい限りです。

 

中身は、戦後の焼け野原から立身出世するサクセスストーリーです。

 

「すごいやつは最初から最後までずっとすごい」

「失敗するのは周りの無能力者のせい」

「すごいやつにに全部任せて責任だけ取る上司は最高」

 

という銀河英雄伝説のヤン・ウェンリーみたいなエピソードが続くので

こんな属人化した話を経営のバイブル扱いする人は

頭のネジが飛んでいるのではないかと思いながら完読。

最後まで同じ調子でした。

 

どの本も、読み手の考えが入り込むので、

キャッチコピーは当てになりません。実際に読むのが大事です。

 

「歴史好きなら司馬遼太郎くらい読まなきゃいかんだろう」

というだけの理由で八巻シリーズを読んだのに

誰とも共感できそうにない感想しか浮かびませんでした。

 

期待通りに進まないのが読書の難しさです。

 

9位  

120の腕前なのに80台で回る 勝間和代の頭だけで100を切るゴルフ

120の腕前なのに80台で回る 勝間和代の頭だけで100を切るゴルフ

  • 作者:勝間 和代
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/02/24
  • メディア: 単行本
 

【勝間和代氏インタビュー前編】 「忙しいから行かない」ではなく、「忙しい時ほどゴルフに行く」方が仕事もはかどる[じゃらんゴルフ]

 

↑のインタビューが面白かったので 

ゴルフに全く興味がない人ですが買いました。

そうしたら、中身は完全な技術教本でした。人脈とか金儲けの要素が全くない。

 

結論→一般的な誤解→解説

 

というサイクルで進みます。

ゴルフ経験者ならだいたい分かると思いますが

私はゴルフを一回もやったことがないので、文字だけの説明では無理でした。

(イラストも図解も全くないので、編集者はもう少し働いて欲しい)

 

「製造業と同様、ゴルフは打球の品質管理が大切です」

 

ゴルフの成功・失敗をその場でiPadにメモし

PDCAサイクルを回し続けるという、コンサルタントのアプローチ。

「成功には原則があった」の言葉通りです。

 

 

全然できない状態から少しできるようになる過程を

 文章で説明するスキルというのは、一般的な文章力説明力の

応用でいけるんだなと、感心しながら

何も意味の分からない240ページをめくり続けました。

 

本は別に理解なんてしなくていいし、

「頑張って説明してるなあ」と大教室の後ろでLINEしながら

聞き流すような読者でも別に構わないと思います。

 

問題解決へのアプローチ法と説明の技術は参考になりましたので

十分値打ちはありましたよ。

 

8位

オスカー・ワイルド - 「犯罪者」にして芸術家 (中公新書)

オスカー・ワイルド - 「犯罪者」にして芸術家 (中公新書)

  • 作者:宮崎 かすみ
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2013/11/22
  • メディア: 新書
 

12月に届いた最強の1冊。

同性愛を理由に投獄され、その後没落。

非業の死を遂げた批評家・文筆家・劇作家オスカー・ワイルドの評伝です。

 

イギリスの高校・大学は男子校かつ全寮制。

男色がはびこってるのに、なぜか同性愛行為が犯罪のままで

(大陸はナポレオン法典の影響で合法化されていた)

見て見ぬふりをしているが良くは思われていない状態。

 

派手好きで元々嫌われていた上に、人目につくように

男娼をはべらせて豪遊していたので、逮捕されました。

 

オスカー・ワイルド名言まとめ(日本語、英語) - e-StoryPost

 

この人は、即興で作った小話の方が、小説より面白い。

幸福な王子―ワイルド童話全集 (新潮文庫)

幸福な王子―ワイルド童話全集 (新潮文庫)

 

これなんかそう。

どこで誰に語ったかも、さっきの評伝に書いてます。

 

こういう心の汚れた人が書いた短編だったのか。 

教科書に載ってるくらい有名なのに。

 

当時の男娼に、証拠を取ってゆする文化があったとか

男性の同性愛を示す単語を著作に忍び込ませたとか

そういう文化の解説も読みどころです。

 

イギリスはどこをとっても腐ってるので、実態を知るにはちょうどいいでしょう。 

代表作の一つ「W・H氏の肖像」を収録

本のタイトルがひどい。悪意を感じる。

 

オスカー・ワイルドという人物、裁判の背景知識と

濃い話が続くので、元気な時に読んでください。

私は、読了したあとしばらく寝込みました。

 

7位

GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)

GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)

  • 作者:アダム グラント
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2014/01/10
  • メディア: ハードカバー
 

人間関係の極意を述べた本。バリバリのビジネス書です。

 

知ってるコンサルタントが「この本を読んで人生が変わった」と

言っていたので、試しに読んでみました。

 

最近、知り合いはそこそこできた(友達は増えてない)ので

 もう少し「借りを増やす」「関係を深める」方向に切り替えようと

いう気づきがありました。 

 

最初からひたすら与え続ける人、搾り取ろうとしか考えない人、

貸し借りなしを心がけ、もらった分だけ返そうとする人。

どれがうまくいくか?答えは与えつづける人です。

 

相手が欲しいものを欲しい量だけ与えるのは調整が難しいし

与えることを最優先して無駄に他人のスペースに加入してくる人が

結構います。「GIVER」になるのも難しい。

 

自己啓発業界で「与える」って言ってる人、ろくな人間がいません。

 

6位

戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌」 (集英社文庫)

戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌」 (集英社文庫)

  • 作者:斉藤 光政
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/03/20
  • メディア: 文庫
 

東日流外三郡誌 - Wikipedia

 

論争が起こったのがちょうど歴史に興味を持った頃で

しばらく離れてる間に裁判沙汰になり、偽書と確定。

それ以後、オカルト・トンデモ業界でのみ珍重されています。

 

中身も…うーん。 

屋根裏から落ちてきた古文書を「当主が書き写した」写本。

使う単語や紙の年代を見れば、古文書の真贋はすぐわかるのに

これを自治体が市史に収録してしまい。その後面倒なことに。

 

新聞に載り、各所で史跡を作ったり、新作の古文書(って何だ)を

他の自治体に買い取らせたり。やってることは悪質なゆすりだ。

毎晩自宅で、偽書を制作し続けるW氏。生産した量が半端じゃないので

精神疾患の気を感じる。

 

東日流外三郡誌を持ち上げた学者の話がもっと悪質。

公の場で論争に応じて、違うなら違う、間違ったら間違ったと

訂正すればいいのに、仲間内で固まって反対論者の個人攻撃を繰り返す。

よく見る光景とはいえ、結構有名な学者なのにこれは。

 

ノンフィクションとしての完成度が高いので、

読み物としてもお勧めします。歴史はほとんど関係ないです。

 

後編→この本がすごい2019(後編):ベスト5の発表です